
先日、大学のラボの人から
「A製薬会社の研究員だったんですか?すごいな、それって勝ち組じゃないですか。で、給料いくらもらってたんですか」
と言われました。
今まで思って見たこともなかったので、そう言われて考えました。
勝ち組ってどういう人?
人のことを勝手に「勝ち組」カテゴリーに分類した人は、もうすぐ40歳。
私が以前勤めていた会社に就職の希望を出したことがあり、何も返事がこなかったそうで。そして、自分の同期が有名大学で教授になったということで、自分の行く末を考えた、ということだそうです。
研究者をやり続けて偉くなるとしたら会社では研究本部長、大学では教授が究極の勝ち組なんでしょうか?
しかしこれらの役職は、自分で手を動かした ”実験” はできない管理職ですね。
私のように自分で実験するのが好きな人は管理職にならない方が幸せなんです。
給料が安く請負仕事や雑用メインであっても
研究に関係していることに違いはない(実際そうですし)。
そう割り切れるならラボテクニシャンがいいですよ。
(非常勤だと、予算がなくなると首を切られる雇用不安リスクはありますが)
得られた成果を自分の名前で発表したい、
という考えの人や、
「ラボテクニシャンです」
というよりも
「研究員です」
と自己紹介できた方が体裁がいい、と思う人なら
そういう身分になれるようにあらゆる手を尽くし、運良く研究員になれたらそこに居続けることができるように必死で成果を出し続ける。
そうするしかないでしょう。
でも、どんな立場で ”研究” に関与する場合でも
あらゆる経験が自分のキャリアと自信を作ってくれます。私は今も年下の上司や後輩からいろんなことを教えてもらっています。
その経験の価値は給料の額とは全く関係がない、ということをこの数年で実感しました。
もし試薬や実験機器を使うような ”いわゆる研究” から離れることがあったとしても、観察、分析、推理、発見、検証のようなことはどこでも楽しくやっていけます。
研究者的ものの見方が知らないうちに身についているせいか、身の回りには研究対象になるものがゴロゴロあるように思えて、飽きません (ラボの整理収納研究だってその一つ)。
それをブログに書いたら仕事が来て、それでまたお金をもらえているという、なんとハッピーな生活。すごく幸せです。
どこでも楽しくやっていける、その意味では私は ”勝ち組” と言えるのかもしれません。