研究の邪魔をするかもしれない15のモノ

研究には”モノ”が必要だけれど、スペースや時間、体力は有限。

モノがありすぎで整理が行き届かない研究室は研究者の気力・体力・時間を奪います。

整理ができていない場所は使いにくく、在庫の管理もしづらく、モノを元に戻しにくく、イライラしてストレスがかかるし人間関係にも悪影響を及ぼします。

1. あなたのラボ・研究室にこんなものがありませんか?

1. いなくなった人の残留物や細胞ストック
2. 誰のかわからないサンプルチューブや試薬
3. 壊れた、または何年も使っていない機器
4. 中身のわからない瓶
5. 積み上げられた段ボール箱
6. ラベルが変色・剥がれかかった試薬
7. カビの生えた培養細胞の培地・紙箱・液体
8. 引き出しが開けにくい実験台
9. 実験経過が辿れない実験ノート
10. 古い専門書、専門雑誌
11. 2年以上前の実験用品カタログ
12. スライドグラスの引き出し、標本ブロックの入った箱
13. 昔のソフトウェアの箱とマニュアル
14. 中にチューブやケーンが落ちている液体窒素タンク
15. 埃をかぶったガラスチューブやプラスチックチューブ

こうしたものが溜まっていると、始末したり使えるようにしていくのに結構な時間と手間がかかります。

例えば試薬はモノによっては専門の設備を持っている会社に廃棄処理を頼む必要があり、内容物を調べてから依頼しなければなりません。

ソフトウェアなんて、昔のものは頑丈な箱に分厚いマニュアルが入っていて、そのままゴミ箱に入れると袋が破けそうに重いです。誰かまだ使っているかもしれず、確認取ってからでないと処分できません。捨ててしまってから後で文句が出ると自分の責任になると思ったりすると、触らないでおこうという気持ちが働きます。

2. なぜこうしたモノが溜まっていくのか

原因は、一つではありませんが、特にラボ内の人間関係のあり方はモノの整理に影響します。

こういうものは捨てた方がいいんじゃないか、とか、この収納は使いにくいなあ、と思っていても学生や大学院生が自ら陣頭指揮をとって整理をするのはなかなか難しい(やれる人はかなり優秀なリーダーの素質があります)。

学生や大学院生の気持ちとして、

  • 先生たちの研究費で買ったものだから自分には判断できない。
  • XXさんやXX先生と違うやり方を提案して文句つけたと思われるのは嫌だ。
  • でしゃばりと思われたくない。
  • 整理なんかやっている暇があったら実験しろと言われそう。
  • 整理するきっかけがない。
  • 先輩たちが置いていったものだから自分には整理するような責任(や権限)がない。
  • 自分の時間を非生産的なこと(自分の業績に繋がらないこと)に使いたくない。
  • 捨てた後、何かあった時に自分の責任にされるのは困る。

 

もちろん、勝手に捨てるわけにいかない。だから捨てるにしても、他の人とのコミュニケーションが必要です。コミュニケーションを取るのが苦手な人、面倒だと思う人には整理ができませんし、共用品の整理には手を出さないでしょう。

3. どうしたらいいか

トップダウンが一番の解決策です。トップの研究指導者が整理収納の必要性をわかっていないと、他の人たちは動きにくいです。

一斉に、不用品を処分するための時間をとって、みんなで協力して整理する。

必要なもの、不要なものが人それぞれ違うかもしれないので、共用のモノを整理するときは関係者の確認を取る。

期間を決めて見直し(例えば半年に1回)することをラボのスケジュールに組み込む。

というのは理想ですが、実際にはそうもいかない場合もあるでしょう。

でも、使いやすく、ストレスの少ない研究室で実験したいのなら、自分のやれる範囲で少しづつ動いていきましょう。整理のプランを立ててトップを説得、というのも試してみてください。

外部の力を借りるのも手です。整理収納についての講座をプロに頼む、ということはできます。ラボの整理収納を専門にやっているという整理収納アドバイザーは私しかいないかもしれませんが、一般的な話でも色々気づきが得られると思います。