今回はちょっと昔を振り返って30年くらい前のラボと比べて現在との違いについて書いてみます。
昔のラボでは大抵のものは使い回しでした。
チューブやピペットはガラス製品を何度も洗って使っていました。(今もそうしているラボもあるかもしれませんが)培地の瓶も洗って、滅菌して。培地は粉を溶かし、フィルターで濾過滅菌。
でも今は濾過滅菌したものを瓶に入れるためのポンプ、めっきり見かけなくなりました。シリコンチューブをローターの周りにぐるっと巻くようなタイプ。
代わりに、フィルター付きのプラスチックカップとプラスチックボトルを使って、ただ吸引すればいいだけのものが使われています。
時代の流れで変わったなーと思うこと。
・ラボから出るゴミの量が増えた
・プレートの穴の数が増えた(96穴でも多いと思っていたのに384とか)
・遺伝子操作の便利なキットが増えた
・どこのラボでもPCRやqPCRを当たり前にやるようになった
・クリーンベンチの中でバーナーを使わなくてもコンタミしなくなった
・プラスチック製品の種類が増えた
・決まりごと(規制化合物、廃棄物の扱い)が増えた
・環境への配慮が求められるようになった
・研究倫理教育をされるようになった
・ドラフト(安全キャビネット)の前でタバコを吸う人がいなくなった
・喫煙スペースが建物内から消えた
・グラビア写真や水着カレンダーをラボに貼る男性がいなくなった
・靴下を乾燥機に入れる人がいなくなった
・ベルトから手ぬぐいを下げている人がいなくなった
・セクハラ、パワハラ、アカハラという言葉が定着した
・論文は図書室で読むものではなく自分のノートPCで読むものになった
・グループに1台だったコンピューターが一人1台以上になった
・統計専用の小型計算機がなくなった
・MS-DOSで動かす実験機器がなくなった
・ブルースライドやOHP (オーバーヘッドプロジェクター)を使っていたのが、パワーポイントを使うようになった
こうして書き出して見ると随分変わったなあ・・・と思います。こうした変化にITの進歩が与えた影響は大きいです。そのうち、実験ノートも全て電子化されるのかもしれません。
ただ、スクリーニングは全てロボットがやるようになるという話もありましたが、そういうことにはなっていません。一部のことはロボットが使われているでしょうが、やはり人の方が臨機応変で融通がきくし、ロボットを導入したら高額だし、役に立たなくなっても(そのスクリーニングをやらなくなっても)捨てにくいし、用途が限られてしまうし、あまりメリットがなかったからでしょうか。
今から30年後のラボは、一体どうなっているでしょう。
AIが研究計画を作ったり実験しているでしょうか。