ラボでは-80℃まで温度が下がるディープフリーザーと、-20から-30℃のフリーザーを、中に入れるサンプルの種類によって使い分けします。
家庭用の冷凍庫(-20℃)は霜がつかないようにする自動霜取り機能(機械が勝手に温度を上げている)がついているのですが、ラボのフリーザーはサンプルを温度変化から守るため、そのような機能がついていません。そのため、霜取りを年1回くらいはやる必要があります。
それをやらないでいると、以下のような困ったことが起きます。
- 扉がちゃんと閉まらなくなり、庫内の温度が上がってしまう(警告音が鳴って部屋にいる人もしくは廊下を通りがかった人が驚く)
- 霜が凍りついて引き出しが出せなくなり、中身が取り出せなくなる(実験が進まなくなる)
- 気づかずに放置する(週末とか)と、温度が上がって中のサンプルがダメになる可能性がある
警報が鳴ってしまった場合、時間がないときはひどい部分のみ霜をかきとって、とりあえず扉が閉まる程度にしておくしかないです。しかし無理に掻き取ろうとすると庫内のパッキンや配管が傷つきますし、霜が成長してすぐに不都合が起きます。
そこで、応急処置としていくらか霜をとっておき、時間稼ぎしている間に全部の霜を溶かすための準備をします。
霜取りを始める
- ラボメンバーに告知してなるべくサンプルを減らしてもらう
- 移動用のフリーザーまたはドライアイス、ボックスを確保または発注する
- 庫内の物品を別のフリーザー、またはドライアイスを入れたボックスに移動する。この際、グループ別または個人別にポリ袋に入れ、どこに戻せばいいか大きく書いたメモを入れておく。
- 電源を落とす
- 溶けた霜が流れ出るので、それを受けるためのバケツや雑巾、シートなどを設置する(これをやらないと床が水浸しになる)
すべて溶けたら、乾いた布や紙で庫内や引き出しの水滴を拭き取り、電源を入れ、温度が下がったら中身を戻す。
フリーザーの機種にもよりますが、-80℃のフリーザーの場合、電源入れてから温度が下がるまで時間がかかるので、朝一番で中身を出し、日中に霜を溶かし、夕方から電源入れて翌朝まで待つ方がいいです。
その間、ドライアイス20kgと箱(500mLの培地瓶が10本入る大きさ)7-10個は用意し、サンプルをしっかり凍らせておくようにします。
普段からの整理が大事
この作業をするにあたり、やはり中身の物量が少なければそれだけ作業は楽になります。
フリーザーを使うときにも、サンプルが詰まりすぎていると探すのに手間取り、扉を開けておく時間が長くなり、霜がつきやすくなる、という悪循環が生じます。
結局のところ、フリーザー内のモノも常に整理し(不要なものを捨て)、取り出しやすくしておくことが快適な実験環境につながるのです。