何年か同じところで過ごすと、そこの場所に慣れてしまって、ラボの使いにくさに気づけなくなってしまいます。(私もそうなっているかも・・・)。
使いにくさの大きな原因の一つはラベリングの不十分さ。
ラベリングの重要性は、新人さんの気持ちになってみるとよく分かります。
1. 何か在庫品を使い切ってしまった
発注先がどこにも書いていない消耗品ダンボール箱を前にしてさてどうするか。
新人Aさん:「後で誰かに聞いてみよっと」「先輩の誰かがなんとかしてくれるだろう」で空箱を放置。
新人Bさん:発注はしたけれど、どこに発注すればいいか知らなくて適当に頼んじゃった。納品されたあとで先輩に言われた。「XX社にいつも発注してる。一番安いから。」
2. 試薬のありかがわからない
高い棚の試薬瓶が箱に入っていて、椅子に登らないと試薬ラベルが見えない。
新人Cさん:触るのが怖いラベルの変色した古そうな瓶がたくさん。これなんか、ラベル消えてて中身がわからないよ?
新人Dさん:試薬の並べ方ルールがわからない。ABC順なのか用途別なのか??
新人Eさん:試薬の棚があちこちに分散している。一体どの棚を探せばいいのか。おまけに試薬の引き出しが2つとも開かないし。
3. 冷凍庫がぐちゃぐちゃ
新人Fさん:この試薬、何本も同じものがあるけど、どれから先に使えばいいの?使いかけのチューブに印がついていればいいのに。
新人Gさん:分注ストックを使い切ったけど、どこに大元のストックがあるのか書いてない。誰が管理しているのかな?
4. 非働化血清が使い切られている
新人Hさん:どうやって非働化すればいいか知らない。やり方のメモがあるといいのに。
新人Iさん:わかんないから、誰か作ってくれるまで待つ。面倒だし。
5. フリーザーがぎっしり詰まっている
新人Jさん:フリーザーの前に貼ってある紙には名前が書いてないのに、なぜかモノが詰まってる。私のサンプル、とりあえず隙間に入れとくしかないか。
新人Kさん:結局、先輩や先生に場所を空けてもらわないと入れる場所がないみたい。
新人Lさん:名前が書いてないものが共用のスペースに入れてあるけど、捨てちゃっていいのかなあ?
6. どのくらいになったら発注すればいいのかわからない
ちょっと残っているから、まだ頼まなくてもいいのかな?
どのくらいになったら注文すればいいんだろう?
・・・・・・・・・
何でもかんでも人に聞かないとわからない煩わしさ。
忙しい先輩や先生たちを煩わせたくないのに聞かざるを得ない申し訳なさ。
前からいる人たちは、もう使うものが決まっていて自分のテリトリーがはっきりしていて、使うものの置き場所もルールも知っているので困ることがないんですね。
無いと自分が困るようなものは自分スペースに仕舞い込んで他の人が使わないようにしているので、古くて使われていないものがあっても特に不便はない。それは自分が使っているものではないから。
そもそも、古いものが置きっぱなしなのは自分のせいじゃないから、わざわざ自分の研究時間を削って片付ける気はない。
でも新人さんにとってはそれらのものが全てノイズ。探しにくさ、見つけにくさの原因。
それに加えてラベリングが不十分だと、とても分かりにくいものです。
新人さんが誰かに聞かなくてもわかるようなラベリング、そして留学生にもわかるようなラベリングがしてあるラボ。