言っても聞いてくれないとき


研究所の職場で ”片付けない人” に上司が注意したとします。

注意して改善すればいいのですが、言っても聞いてくれない、という場合も結構あります。

言われた人にとって、上司のいうことは従うべきルールと捉えられていないのでしょう。もしかすると、「この方が便利なのになぜ反対するのか」くらいに思っているかもしれません。


誰かが個人的に言っても受け入れられない。

そこで全体に注意喚起したり厳しくチェックしたりすると、
「自分はちゃんとしてるのにどうして言われなきゃいけないの」と不満に思う。
「〇〇さんのせいで自分たちまで怒られた」と職場の雰囲気が悪くなってくる・・・。

これはどうしたらいいでしょうか。

組織としてどうなのか

片付かないのを個人の責任としてしまうと、個人の行動を変える以外の方法を考えなくなってしまうので問題解決しにくいです。

組織はラボで働く人に場所を貸しており、安全・衛生的で効率的な環境を維持するよう、管理する義務を負っています。
片付けをしないことで組織の目的(研究成果をあげること)の障害となるケースがあったとします。
それにもかかわらず組織運営サイドが対応しないのであれば、

”組織としてその状況を許容している”

と言うことになりますので、個人の責任ではなく、運営側の責任です。


・後片付けがされていない → 共有するべき組織の資産が独占されており、スペースが有効活用されていない

・流しの洗い物放置 → 流しを使いたい人が困る、器具に薬品がこびりついて使えなくなる

・天秤周りのこぼれた試薬 → コンタミの原因になる、危険な薬剤だと健康被害が生じる可能性がある

・物品や試薬の補充がされていない → 次に使う人が困る、仕事に支障が出る

何かをしないことで得られる時間の節約や、置きっ放しにすることで得られる利便性と言う”利益”を得るのは、一人だけ。安全管理上も、精神衛生上からも放置していい理由はありません。現状調査と原因の特定・対策をしないと、研究成果をあげる障害になりかねません。

ただし原因、と言うのは個人のマナー意識のなさではありません。片付けないことを許してしまう風土や、片付けにくい配置や収納のしにくさ、だれかに過剰な労働を強いていないか、ルール自体に無理がないか、などを指しています。

対策をとる目的は”ルールを守らせる”ことではなく、仕事しやすい職場環境を整えること。
毎日ルーティンワークをしており、特定の実験専用の作業場所があったほうが効率的、ならばスペースを固定する方がいい場合もあるでしょう。”誰かを特別扱いする”ということではなく、全体としてストレスの少ない職場環境にするために最適なやり方を話し合って考えましょう。

試薬や物品の補充については、整理したり収納方法を変えることでほとんどが解決します。

在庫をわかりやすくする。発注タイミングのルールをわかりやすくする。発注方法を単純化する。そのほか、状況によってやれること・どうしたら使いやすく継続しやすい仕組みができるかを考えましょう。

優先順位をどう考えるか・状況はどうか・ほかの人の仕事のしやすさに影響しないか、など考慮した上で結論を出せばいい。一度決めたルールであっても、見直しが必要なら話し合い、ルール自体を守りやすくシンプルにすることも考えてみてください。


同僚や同じ組織の人は、犯罪者でもなく、敵でもない。

ただ、”常識”や”感覚が違うだけなのかもしれません。

全体でできることはないか、アイデアを考えて行きましょう。

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