ダメになってしまった試薬で実験を失敗

私がラボ整理を始めたきっかけについて書きます。

大学の研究室で働き始めて1年ほど経った頃、未経験だった実験をやったところうまくいかず、数回やり直したことがありました。

ラジオアイソトープラベルしたサンプルを電気泳動し、その後ゲルをフィルターに吸着させて、2日間感光。。。なんやかんやで(待ち時間を含め)4日かかる実験です。

うまくいけば横まっすぐなバンドが見られるはずなのに、M字型や台形の、まるで山のような形のバンドが出たのです。

原因についてネットで調べ、ついに、同じ現象が書いてある記事にたどり着きました。教科書でもなく、試薬メーカーのHPでもなく、大学の先生が書いた個人のブログです。

 

結局、原因は1つの古い試薬、SDS(Sodium dodecyl sulfate)でした。新しいものを使ったら、他の条件は同じなのに綺麗なバンドになったのです。

 

このSDSはラボの試薬棚にあった常温保存の試薬です。一体何年前からあったのか・・・

ラベルに購入日、保存期限や、開封日は書いてありませんでした。そしてほとんど使われた形跡がない。

 

こんな試薬をまた棚に戻してしまったら、そして他の人が知らずに使ったら、時間と研究費が無駄になってしまいます。そこで、原因が判明した後すぐに瓶を試薬棚から隔離しました。

 

これが意識的にラボ整理を始めたきっかけです。

見回してみると、試薬以外にも気になるものがあちこちに。研究の邪魔をするかもしれない15のモノ

折良くラボ引越しの機会があり、また大学院生が増えてきたので、実験スペースを増やすべく不要品整理に取りかかりました。

  1. どういう整理ステップを踏めば良いか
  2. 皆が使いやすく実験を効率よく進めるにはどうモノを配置したらいいか

を考え、実行に移すと目に見える形で片付き、使いやすくなり、またラボメンバーからも好評なので楽しくなり、いつの間にかラボの整理収納が私の研究テーマになっていました。

研究成果を公開していきたいと思い、このジャーナルを始めました。

ラボにいる皆さんにとって、何か少しでもお役に立てることが書けたら嬉しいです。