証拠としての実験ノート・誰がいつまで保管する?

実験ノートの保管体制は信頼できる?

最近は、研究に関する資料・データ・実験ノートは組織に帰属する、という考え方が主流だと思いますが、組織で保管ルールが定まっていないとか、信頼できる保管の仕組みがない場合、所属を変わるときや退職するときに安心して置いていけないこともあります。特に大学は、ラボでもうすぐ教授が定年になるとわかっている場合、研究室自体がなくなったり、研究が途絶えてよそから来た教授が違うテーマで研究したり(しなかったり)する。ノートを置いていっても、置く場所がなくなったら捨てられそう。そう考えると、自分のノートやデータは誰に託したらいいのか、ということになってしまいます。(私自身は、大学のラボから国立の研究機関に転職する際、実験ノートを電子化してラボの共有パソコンに保存し、バックアップは上司に渡しました。幸い、実験を引き継ぐ大学院生が信頼できる人だったので電子ファイルのありかや、物品の保存場所をリストにして説明し、安心して離れることができました。)

組織から退職・異動・転職した後で捏造疑惑をかけられたとき、もし手元に実験ノートが残っていなかったらどうなるのか。

共同研究者や共著者がいるなら、証明の手立てはあるでしょう。また、研究材料を購入した時の記録は、販売している会社の方には残っているかもしれません。実際に実験をしたのならノートをなくしてしまっても何かしら証拠は残るはずです。特に臨床試験の場合、何も見つからないというのはあり得ません。ただ、そうした証拠はあまり強力とは言えないでしょう。