証拠としての実験ノート・誰がいつまで保管する?

自分でできること・組織でできることは

今回の件から考えられる、不正の疑いをかけられないようにするために個人でできることは以下の3つです。

1. 自分で実験の記録をノートに書く(また同じ実験をして、結果の再現性を確認できるくらいに)。

2. 一人で実験しない(誰かに相談したり、共同研究者と一緒にやる。または実験補助してくれる人を雇い、記録の取り方を教える)

3. 組織のデータ・ノート管理体制が信頼できない場合はバックアップやコピーをとる


組織としてできることは以下の5つ。

1. 所属員に対し、実験ノートに関する教育をする(目的、何を書くべきか、実験データとノートの紐付け方法)

2. 実験ノート保管のルールを決める

3. 実験ノートの保管場所を確保する

4. 実験ノートを支給する(教育受講とセットで)

5. データ登録システムを作る

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今回報道されたケースは単著の論文であり、実験ノートの提出がなく、実験に必要な倫理委員会の承認を得ていなかったこと、また経費関係の書類などを検証した結果、捏造と判断した、と書かれています。故意の捏造ではなかったと信じたいところですが証拠がない。本人がわざわざ証拠を消すはずもないので、想像で書かれたとしか言えないようです。こうした事件が繰り返されると当事者個人の論文や著作物の信頼が失われるだけでは済まない。まともに実験している大多数の研究者までも疑われてしまいます。とても残念なことです。

自分の身を守り、また後に続く人のためにも、実験ノートを大事にしましょう。
組織で決まりがないときは、余計に自分で気をつける必要があります。経験が浅い・あるいはちゃんと指導されていない人もいます。指導的立場の方は、研究者として疑いから身を守る術を伝えてあげて欲しいと思います。


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