実験ノートをどう活用する?

研究所に勤務していても、実験ノートの書き方について習ったことがない方がほとんどです。

今まで気ままにメモ帳的な実験ノートの使い方をしていたのに、

「きちんと管理してください」

と組織方針として言われたらどうしたらいいでしょうか。

 

ここで、原点に立ち戻って考えてみると、なぜ実験ノートを書く必要があるのかと言ったら

”記録という形で実験をやった証拠を残すため” です。

どこまで書けば証拠として通用するのか?

それは他者が同じ条件で追試できること、というのが一つの目安ではないかと思います。

実験ノートを書く習慣が身に付かないとか、実験ノート管理が行き届かない背景には以下のような理由があります。

書く人の気持ち

具体的にどこからどこまで書けばいいのかわからない(上司や先生から指導を受けていない)

いい加減に書いてても誰にも怒られない

面倒なことはやりたくない

実験ノートを書く意義がわからない

丁寧に書くモチベーションが続かない

字が下手だからこのノートじゃ恥ずかしくて見せられない

どうせ他人が見たって理解できない

自分にしかわからないだろうから、取っておいてもしょうがない

管理する人の気持ち

こんなメモ書きみたいなノートを見せられても何もわからない

説明受ける時間がムダ

他人のノートチェックをしている時間の余裕が(自分に)あるのか?

それ(サインや内容チェック)を義務としてやり続ける意味があるのか?

部下に強くは言えない(自分も人に見せられるように書いて来なかった)

自分が意義がわからないことを部下に強制したくない

・・・・・・

面倒くさいというのはわかるけど、こういうことを放置していいんでしょうか。

きちんとした実験記録がないために研究者個人への信用が失われただけでなく上司や組織長の監督責任が問われる事態に発展するケースもありました。

つまり、信じてもらいたかったらちゃんと実験ノートをつける。そして上司や研究指導者はちゃんとつけるように指導・監督し、習慣になるまで面倒みないといけない。何かあったら自分の監督不行き届きってことです。

実験ノートをちゃんと書かないデメリット

記録がないと、研究成果として掲げられた結果がどういう条件で得られたものなのか、やった本人も正確に辿れない。他者が追試して再現性を確認することができない。

正確な条件(うまくいく条件、うまくいかない条件)がわからないので他の人が間違ったやり方を繰り返してしまう可能性がある(研究費・研究時間が無駄になる)

実験ノートをちゃんと書くといいことがある

ノートを見ながら上司や同僚とディスカッションしたり、うまくいかなかったところを相談するのにも使える。

うまくいかなかった時にノートを見直して後からミスに気づいたり、改善点を考えることができる。

論文の条件と比べて考察することができる。

他の人のプロトコール(マニュアル、実験条件)や、過去に自分がやった実験記録を参考にできれば研究費節約につながる。

記憶なんて曖昧なものよりもよほど信用できるのです。

具体的な方法例

実験計画を立てる時にはパソコンでできるだけ条件を細かく入力し、実験開始日と実験番号・イニシャル・タイトルを併記したファイル名をつけて電子ファイルとして保存。それをプリントアウトしてノートに貼り付ける。

手を動かした時に変更した点は紙に書き込む。電子ファイルは実際にやった部分を変更・反映させ、最終バージョンに更新しておく。

次回、同じことを繰り返すなら最新バージョンをプリントしてノートに貼り付け、また変更点があったら書き込んでいく、を繰り返します。

(ノートに書くべき項目は下記の記事を参考に)

”良い実験ノート”の必要最低条件とは

研究者として良い習慣を身につけよう、身につくように指導しよう

モノの整理収納・整頓と同じく、実験ノートをちゃんとつけることは研究成果をあげる上で良いことだらけなのです。

もしこの記事を読んでくださっている方が誰かを指導する立場にあるのでしたら、ぜひ良い習慣が身につくまで面倒をみてあげてください。