ラボに溜まるもの -1  試薬

試薬瓶を手に取った時、見た目が古ければ「この試薬、まだ使えるのか?」と用心する気持ちが働きますが、かといってすぐ捨てられません。

使えない、とはっきりわかっていれば捨てられるでしょうが、実験に使って失敗でもしない限り、使えない証明はできないからです。

むしろ、ラベルが黄色くなっていようが剥がれかけていようが、試薬としての機能さえちゃんとしている(と思う)ならば捨てずに取っておくのが普通です。そのため、見た目とは関係なく、ラボには使わない試薬がたまりがちです。

試薬棚卸しが必要な当たり前の理由

なぜ試薬棚卸しや廃棄が必要になるかといえば、

まず第一に、何も捨てなければ新しい試薬を収める場所がいずれは足りなくなるからです。新しい服が欲しい!といって買い続けていれば、クローゼットがいっぱいになって服をしまう場所が足りなくなるのと一緒です。

冷蔵庫や棚を買い足すことはお金がかかります。不要な試薬を整理する(捨てる)ことで入れ物を買い足さなくてもよくなり、その浮いたお金で新しい研究をするための試薬を買う方が、研究の助けになるでしょう。

なぜ試薬が溜まってしまうのか、その原因を考えることで試薬を溜めないように気をつけることができるかもしれませんので以下考察してみました。

試薬が溜まる(捨てない)原因

1. 使用期限が表示されていないのでいつまでも使えると思うから

2. (室温保存品だから、あるいは冷凍保存してあるから)劣化しないと思うから

3. 入荷日や開封日が書いていないので何時からあるのかわからない(見た目でまだ使えると判断)

4. たくさん残っているから捨てるのは勿体無いと思うから

5. 未開封だから勿体無いと思うから

6. 買い直すと(価格が)高いから

7. メーカー保証の使用期限を過ぎても問題なく使えたという経験から(または指導者や先輩からの話で)

8. 自分では使ったことはない(使わない)が、誰かが使うかもしれないと思うから

9. 廃棄方法がわからないから

10. 廃棄手続きが面倒だから

11. 小さい容器で場所を取らないから

12. どういう実験に使うものなのか知らないから

13. いつか自分の実験で必要になるかもしれないから

14. 捨てる判断をするのは自分の仕事ではないと思うから

 

試薬を捨てる判断ができるのは、その試薬の使い道(どんな実験をする時に必要なのか)を知っている人です。そういう人は大抵、自分の研究で忙しく、整理のための時間を使いたがらない。

でも、試薬整理はマメに(最低、1年に1回は)やることをお勧めしたいと思います。そうしないと使いにくい試薬庫になってしまい、余計な探し物時間が発生するだけでなく、試薬の二度買い・実験失敗やイライラの元凶になります。

個々の試薬に管理者を決め、自分の試薬は自分で責任を持って管理する。共用試薬は使っているものだけに絞り、在庫をわかりやすくするためのシステム作りが必要です。