職場を整理して使いやすくしたい、と思ってもなかなか一人では始められないかもしれません。
自分のものは整理できても、共用のものや、誰が使っているかわからないものは難しい。勝手に捨てるわけにもいかないし、いちいち聞いて回るのも大変。
そんな時どうしたらいいでしょうか。
職場を整理したい時に
1. 整理の目的を考える
2. どこに何をおくのが一番使いやすいかを考える
3. 誰に断ればいいかを考える
4. スケジュールを決める
5. 処分するべきもの・保存すべきものは何か
6. 協力者の存在
7. 実行
を順に説明したいと思います。
あなたがそのラボを主宰する立場であれば、物事はかなり順調に進むと思います。誰かに丸投げするのではなく、最後まで面倒をみるつもりであれば。
すぐ下の立場の人に丸投げはダメです。指示は具体的に、かつラボのものを処分していいかどうかの判断はあなたの決断にかかっているので、整理の日には外出しないでください。
1. 整理の目的を考える
もし、あなたがきれい好きな人で、ただ置いてあるものが目障りだからという理由だと協力者は見つからない可能性が高いです。また、あなた以外の人は現状で困っていないこともあるので、まず説明して納得してもらう必要があります。
人が増える・大物機器が入る・新しい機械を増設する・卒業や退職する人のものの整理を手伝う、
などは、すんなり受け入れてもらいやすい。ただ、かなり大掛かりでお金がかかりそうな整理(処分費用がかかる、廃棄申請の手続きが面倒、など)や、新しいものを入れるため誰かのスペースが減ったりする場合は準備(というか、説得や合意)が必要だと思います。
たいていのラボや研究オフィスで眠っている、捨てても良さそうなものベストテンは
カタログ
文具
別刷り
学術雑誌
学会でもらったもの
学会の名札
ソフトウェアの箱
取説
試薬
いない人が置いて行ったもの(壊れた傘・コップからサンプルまで)
です。
それらを置いておく意味があるかどうかを考え、もし誰も困っていなくても、スペースの余裕を作る目的で、年度末や何かの節目に整理を進めていいかと思います。
不要なものは少なければ少ないほど管理や掃除が楽になるからです。
2. どこに何をおくのが一番使いやすいかを考える
必ずしも一番いい場所(使う場所)に置けるとは限りません。例えば管理試薬。不便でも鍵のかかる保管庫に納め、ものによっては記帳が必要だったり、鍵を取りにいかなければなりません。
この場合は従うべきルールでしたらその通りに。
ただし、記帳のノートやファイルの置き場所・記入方法で改良の余地がないか考えることはできます。
3. 誰に断ればいいかを考える
全員にきく必要がある場合と、ボスまたは主にそこを管理している人に言えば済むようなこともあります。
一番いいやすい人にまず言って見て、その人の判断だけでは難しそうだったらその上の人に聞く。
誰が使っているかわからないものはセミナーの後など、メンバーが揃う時にみんなで確認してもらうと早く進みます。
ただ、整理するものの物量や一時展示場所のスペース・ラボの状況によって違うので個別に考えた方がいいです。
4. スケジュールを決める
研究費獲得の申請書類締め切り目前とか、みんなが忙しいとわかっている時には予定を組まない。
ラボにいる方であれば、いつ頃なら大体時間がありそうかわかるはずなので、ほかの人の協力が必要な時は考えて見てください。
整理したい場所の規模(フリーザー1つとか)や、使用者の人数にもよって、スケジュールは決めればいいです。
X月X日までに
- 必要なものには名前を書いてください
- XXへ避難させてください
- 必要なものには付箋を貼ってください
など、締め切りを設けて掲示したりメールしたりするやり方もありますが、一斉メールを見ない人がいるので、掲示はあちこちにした方がいいです。
5. 処分するべきもの・保存すべきものは何か
実験ノートやサンプルを、論文を書くまで保存、X年保存、というルールを決めたとしてもそれを遵守するにはスペースが必要です。
関係ないものが混入した状態(例えば実験ノートとともにコピーした文献、セミナーのレジュメなど)で保管していると余計なスペースが必要です。
サンプルも、以下の点に留意しないと、不要なものが延々と保存され続けることになります。
- 本当にそれは取っておかなければいけないのか、保存の時に最小限に絞る
- 必要になった時にすぐに取り出せるように管理をシステム化する
- リストとして共有または誰かに引き継ぐ
自分がいなくなってしばらくしてから「あれはどこに?」と聞かれても困りますし、いなくなる時に「これを置いて行っても捨てられないゴミになるだけだ」と思うのは切ないです。
6. 協力者の存在
協力者がいることほど心強いことはありません。
でも、少数の協力者に頼りすぎると職場内の人間関係がギクシャクすることがあります。
可能な限りトップダウンで進めること、トップの協力をまず取り付けるのがいいです。
7. 実行
もし、整理のきっかけを作るところから始めるのであれば、講演会やセミナーを開いて知識を共有する方法が有効です。
特に、人数が多く、整理に時間を割くことが難しい雰囲気のところ、古いものがたくさん残っていて整理が進まないところでは、一人でも多くの人の意識を変え、協力を得ることが必要です。
整理をすることで色々な問題が解決する可能性があることを知ってもらい、整理したくなるような雰囲気を作るのに役立ちます。
コンペを企画したり、整理の取り組みを来客からも見えるような場所に掲示する、職場改善の試みとして他の事業所やHPでアピールしていくこともモチベーションを高めるために役立つと思います。
結局のところ、やる気にならないと何も進みません。
ダイエットと同じく、目的がはっきりしていると進みやすい。
そして、途中でくじけそうになっても仲間がいれば続きやすい。
さらに、歯磨きと同じく習慣化(システム化)できれば片付いた状態を維持するのも楽です。
まずはやれそうなことを考えてみることをお勧めします。それだけでも一歩(半歩でも)前進なのです。