研究所にモノがたまりやすい要因とは?

研究所ではなぜかモノがたまる。

 

それはなぜか。研究所特有の6つの要因を取り上げて解説します。

1. 研究はルーチンワークではないから
2. 研究材料は高額である
3.保存年限が曖昧なものが多い
4. 処分しにくいものが多い
5. 残留品の見直しがされにくい
6.年度末予算消化

1. 研究はルーチンワークではないから

研究所と工場を比較してみると、その仕事の性質が違うことは明確ですね。

工場のように、作るものや手順が決まっていて、ゴミの種類も決まっている、という場所と異なり、研究所では何かを買って、実験したり工作したりして試し、うまくいかなかったらまた別のものを買う。

それで、最初に買ったものがポイと捨てられるかといったらそんなことはない。別の実験に使える可能性があるので、ほぼ完全に決着が着くまで色々なものをとっておく。
したがって、ものが溜まっていく。

2. 研究材料は高額である

ネットで買えば結構安く買えるようなものでも、公立の研究機関や大学では手続き上の制約でそれができない(数社の代理店に見積もりを請求し、その中で一番安く納入してくれるところを選ぶ。)手間暇がかかる。手数料が上乗せされ、割高になる。

買った時に高かったものはおいそれとは捨てられない。しかもそれが苦労して獲得した研究費で買ったものであればなおさらです。

3. 保存年限が曖昧なものが多い

食料品とは異なり、口に入れるものではないので、たとえ30年経っていようと、使えるものは使い倒す。

試薬や抗体のように、一応保存年限が書いてあるものでも、経験的にまだ使えるとわかっているものが多いので、あまり気にせず保管されている。誰かが使って実験を失敗して初めて、新しいものを買わなきゃと気づく。

4. 処分しにくいものが多い

つまり捨てる手続きが面倒なもの。

処分費用のかかる大型機器や、備品として管理されていて、届け出をしないと捨てられないものが多数。

法規制化合物や特殊な処理をしないと捨てられない試薬。専門業者に依頼が必要。しかも、面倒なリスト(試薬名、法規制、残量、形状などをかく)を作らなければ依頼を出せない。

この作業は誰もやりたがらない。特に研究者は。
こういうことに時間を使うくらいなら散らかっているのを我慢する方を選択する。

5. 残留品の見直しがされにくい

誰かの実験ノート(ラボを離れる時に、実験ノートを置いていくルールがある)
古い試薬
古いサンプル(誰のものかわからなくなってしまっている場合もある)
凍結細胞
昔誰かが使っていた機械(使いこなせる人がいなくなっている)
超低温冷凍庫の奥底で霜をかぶっているサンプルチューブ
低温室の片隅など、普段目につきにくいところに置かれている中身不明な汚らしい箱に入ったもの(誰も触りたがらない)
組織標本スライドグラス(なんの標本なのかという由来との紐付けができなくなっている)

などなど。

名前や日付が書いてないものがとにかく大量に溜まっていく。
名前が書いてあっても、今は在籍していない場合が多い。

これ以外にも、論文別刷り、学位論文(ハードカバー)、誰かの本、古いカタログ、使いにくい文具、傘、上履き、ソフトウェア、OHP (オーバーヘッドプロジェクター)など、昔は使っていたけれど誰も捨てようとしないものも溜まりがち。

6. 年度末予算消化

国公立の研究機関や大学では、外部獲得資金を年度内に使い切らねばいけないという暗黙のルールがある(というか、余っても繰越できなかったり、返ってこないから)。また、研究費の用途が消耗品と決まっている場合もある。そのため、研究費を余らせないように調整し、金額合わせのために安い単価の消耗品を買い込む。余計な買い物をしてしまう。消耗品を使い切れなくて置き場所に困る。そのうち劣化して使えなくなるが新品なので捨てられない。

さてみなさんの研究室ではいかがでしょうか。

もし、上に書いたようなものが溜まっているとか、思い当たる節があるようでしたら、ため込み体質のラボであると思われます。今はなんとかなっても、放置しておくと怖いことに・・・じわじわと使いにくいラボになって、ラボなんだか物置なんだかわからない場所が増えていきます。

これをどうするかはあなた次第です。実験さえできていれば幸せな研究者は、もしかしたら全く気にならないかもしれません。ただ、人間の居場所がなくならないように気をつけましょう。そうなった時にはもう手遅れです。研究に割くべきエネルギーの大半を整理整頓に費やさなくてはなりません。