いろいろな事情で、ラボのものを最適な場所に置けないことがあります。
主な理由としては
- スペースがない
- 収納棚の位置や棚板の高さ、奥行きが合わない
- 今置いてあるモノが大物(や精密機械)なので動かしにくい
- 電源が取れない(コンセントを挿す場所がない)
- 電源ソケットの形状が特殊
年度末の消耗品の大量購入で、一時的に置き場所が足りなくなることも。
また、別の理由が潜んでいることもあります。
それは・・・
ラボや研究オフィスを整理して研究成果を出そう!ラボの整理収納をテーマに研究しているラボ整理研究室のサイト。
いろいろな事情で、ラボのものを最適な場所に置けないことがあります。
主な理由としては
年度末の消耗品の大量購入で、一時的に置き場所が足りなくなることも。
また、別の理由が潜んでいることもあります。
それは・・・
最初の一ヶ月くらいは研修期間だったりしてとにかく覚えることがたくさんあったと思います。
実験に使う様々な物品や機器のありかや、その場所のルールを覚えるのに必死だったのでは。
そういう状態の時に、何もラベルがされていないと場所を覚えるのに時間がかかり、いちいち先輩に聞いて確認しなければなりません。
度重なると聞く方も聞かれる方もちょっとストレスです。
逆に、よく目立つところに物品配置図が貼ってあったり、引き出しのラベリングがちゃんとしてあるととても助かります。
すでにそのラボに慣れている人には不要だとしても、新しく来た人にとっては重要ですし、働きやすく馴染みやすくなる。すなわち早く成果を上げやすくなる、ということになります。
機能的には優れた製品なのに、ラベルの視認性やパッケージがイマイチ・・と思ったことありませんか?
例えば・・・
1. Falcon社のプレートやフラスコ。多種類あるがラベルの見分けがつきにくい。
2. Millipore社のマイクロフィルター。ラベルの数字部分が小さくて、ポアサイズの違いがわかりにくい。
3. Millipore社の滅菌用フィルターとカップ。型番が長く、名称と中身との対応もわかりづらい。
4. 細いチューブの周りにぐるりと一周ラベルが巻いてある。ラベルに隠れてしまい、残液量が見えない。(ちょっと話は逸れますが、遮光チューブに入っている抗体なんかも残量が見えない)
それに抗体のチューブや試薬の小瓶に書いてあるような極小文字が読みにくいったらない。
仕方ないので、細いチューブは一回り大きいセラムチューブの中に入れ、ラベルを手書きしています。
↓こんな風に油性ペンで大きく書いてしまったり。
一番安上がりな方法なんですがスマートさには欠けますね。
些細なことかもしれませんが、改善されるといいなあと思っております。
(老眼なもので)
実験条件が辿れない実験ノートは、ラボの財産ではなくただの紙ゴミになってしまいます。
実験ノートをちゃんと書くことは、ラボにいる人にとって本当に大事な・必須のスキルだと思うのですが、 実験ノートの書き方について、(意外なことに)研究室によっては全く教育をしていません。
ぽん、と立派な表紙の高価なノートだけ渡して、書き方を教えていないのはラボの資源を無駄にしているのと同じ。とても勿体無い話です。
大学生の時に所属していたラボでの教育がきちんとしていると、会社に入ってからそのままちゃんと書く習慣が身についている人が多かったです。”一流” と呼ばれる大学ラボ出身の人ほどそういう傾向がありました。毎日、指導者のチェックを受けてサインをもらっていた、という人もいました。
何年か同じところで過ごすと、そこの場所に慣れてしまって、ラボの使いにくさに気づけなくなってしまいます。(私もそうなっているかも・・・)。
使いにくさの大きな原因の一つはラベリングの不十分さ。
ラベリングの重要性は、新人さんの気持ちになってみるとよく分かります。
「大学はボランティア集団だから仕組みを大きく変えるのが難しい」
と、ある先生が言いました。
大学のラボで整理の仕組みを作ろうとしても、協力を得るのが難しい原因を言い当てています。
でも、それでいいのでしょうか?
大学では安全管理や環境への配慮は、そういうことを仕事にしている学内部署任せで、ラボ内部で教育や仕組みづくりをしていこうとする雰囲気がないなあ、と思うことがあります。
そう思うのは、私がコンプライアンス遵守を重視する会社(製薬企業の研究所)で働いてから大学のラボに来たので、比較してしまうからだと思います。
会社では各部署に安全担当者がいて、その人が代表者会議に毎月出席。毎月、担当者からの報告を聞く安全職場会議を上司含めた全員でやって、安全衛生に関する話題で話し合い。
試薬管理システムもあり、試薬の種類や法規制の有無を調べて登録をしてから発注するシステム。全ての試薬にはバーコードが貼られ、毎年、全員が棚卸しをして行方不明試薬がないかどうかチェック。
それ以外にも、試薬の分類について、安全管理担当部署から毎月テストが出題され、義務としてそれを提出することになっていました。
最初は面倒だと思ったけれど、研究所内で他の人たちが持っている試薬も全部検索できるので、他部署にもらいに行ったり借りて来たり、逆に貸したりして。試薬代節約と他部署とのコミュニケーションに役立っていました。
考えてみたら、会社は随分お金をかけて社員の教育とシステム作りをしている。それはなぜか。
株価暴落。最悪の場合、会社は潰れるかも。そうしたら社員やその家族はどうなるか。
つまり、会社で行われる安全管理教育は危機管理のためなのです。
大学は潰れることはないでしょうが受験生は減るかもしれません。
ラボは研究停止になる可能性があります。
ラボ整理のシステム作りは学生や大学院生の自主性に任せるのではなく、トップ(組織の長)、そして主要スタッフ主導でやるべきことではないでしょうか。何かあった時には大学や先生方の責任になるのですから。
もちろん、使いやすく整っているところもあり、そういうラボはトップ(研究指導者)が主導して、整理に時間を割くことを許しているから下が動くし、動きやすいのだと思います。
先生も学生たちも職員も、第一優先は実験や研究。もちろんそうです。だから、一部の人に負担がかかってその人の研究活動が滞ることがないように仕組みづくりが必要なんじゃないでしょうか。
今回はちょっと昔を振り返って30年くらい前のラボと比べて現在との違いについて書いてみます。
昔のラボでは大抵のものは使い回しでした。
チューブやピペットはガラス製品を何度も洗って使っていました。(今もそうしているラボもあるかもしれませんが)培地の瓶も洗って、滅菌して。培地は粉を溶かし、フィルターで濾過滅菌。
でも今は濾過滅菌したものを瓶に入れるためのポンプ、めっきり見かけなくなりました。シリコンチューブをローターの周りにぐるっと巻くようなタイプ。
代わりに、フィルター付きのプラスチックカップとプラスチックボトルを使って、ただ吸引すればいいだけのものが使われています。
家でもラボでも、ヒトのものが散らかっていると気になります。
たいていの人は片付いた環境を心地よいと感じます。ゴミがたくさん溜まった足の踏み場もない部屋よりもホテルの部屋の方が快適と思うのではないでしょうか。
でも、この感じ方には個人差が大きいので、使っている本人にとっては気にならないし困っていない程度であっても、周りの人や家族にとっては不快に感じることがあるでしょう。
逆に、あまりにも美しさや整理整頓を求めすぎて周りをそれに無理に従わせようとすると軋轢が生じることがあります。
私のかつての同僚はいわゆる完璧主義者、と呼ばれるタイプの人でした。家族がご飯を食べている時に空いた皿からどんどん片付けていく、と言っていました。せかされているようで落ち着かないからやめて、と言われていたそうですが。常に片付いていないとイヤな人もいるということです。