ラボ整理を進める4つの方法

1. 全出し

全出しとは、その名の通り全部出す、というやり方です。
判断できる人(複数)立会いのもと、現在あるものを俯瞰 (ふかん)し、在庫量把握と要・不要判断を一度に行います。


物量や大きさによってはスペースや時間・人手がかかるのですが、一気に片付くため、条件が揃えば最もお勧めしたい方法です。一度に人が揃わない場合、見終わるまで決まった場所に数日間並べたままになりますので、まず場所を確保します。誰が確認済みなのかわかるように、見終わった人は記名してもらう、チームごとにカラーシールを渡しておいて、必要なものには貼ってもらう、というやり方もあります。

試薬の棚卸しをこの方法で行う場合、最初に行うのは大まかな分類です。
例えば用途別、アルファベット順、瓶の大きさ、使用期限切れかそうでないか、といった分類方法があります。最近使ったモノがあれば、それは明らかに必要なものなので、最初にピックアップしておいてもいいでしょう。また、ラベルが消えているものは真っ先に処分対象にするべきです。

冷蔵・冷凍のものについては、ドライアイスや保冷剤・保冷ボックスを多めに用意し、短時間で行うよう段取りします。

注意点として、”廃棄”に分類されたものについて使いたい人がいないかどうかアナウンス後確認してから捨てる、ということです。これをすることで間違って捨てることを防げます。また、整理に立ち会った人にとっては不要でも、立ち会っていなかった人にとって必要なモノが含まれる可能性もゼロとは言えません。念のために保存期間を設けるのです。

リストを作るのが大変な場合は、写真を撮り掲示・回覧する、場所を決めて展示する、などして、関係者全員に見てもらうことが望ましいです。

2. 間引き

すでに保存場所が決まっており、そこから部分的に抜き出して不要なものを処分する方法です。主に、個人で使っているものを整理するときにはこのやり方が使われているかと思います。

文房具、書類、取扱説明書、書籍、冷蔵・冷凍の実験サンプル、小型機器、というものを整理するのに使いやすいです。

また、物量が多すぎる・1箇所にまとめられない、など時間がかかりそうなものをスキマ時間でやることに適しています。

書類はあらかじめ判断基準を決めておくことがコツ。見直さないと思い出せない場合は、あらかじめどんなものがあるかだけざっとチェックしておきます。種類別にまとめるところから始めたほうがいい場合もあります。

基準の決め方として
緊急度(締め切りのある提出物)
使用頻度
とっておきたい資料
過去資料(いざという時だけ使うかも)

など、それぞれについて捨てるのか、スキャンするのか、保管(保留)なのか考えて見ます。

「探していたのがこんなところに」

という発見があるかもしれませんね。
もう一度失くさないよう、付箋に書いて貼り付けておくのもいいでしょう。

3. 期限付き

その名の通り、期限を決めてラベルを貼っておき、期限がくるまで一度も使わなかったらそのまま処分する方法です。
会社や事業に関する書類は法定保存年限が決まっているので、この方法で処分しています。
ラボでは実験ノートや資料など、保存期間が決められるのであればこの方法で。
箱に入れられるものは箱に入れ、ラベルし保存年限や次回チェックの年月日を書きます。

しかし、この方法は少なくとも年に1回の見直しをルール化しておくことが必要です。
誰かがいなくなったら見直しがされない、ということだとラベルしておく意味がないですね。
つまり、ルールとルールの継承が必要なのがこの方法です。

4. 全捨て

長いこと倉庫化していた部屋を他の人やチームが使う、という場合。
別の建物に引っ越す・組織改編で部屋自体がなくなる、ということもあります。
これまであったモノは全て役に立たない。

仕事の専門性が高いがゆえに、研究テーマが違うと使うものが違う。
「もったいない」と思っても、結局、ほとんどのものは捨てることになります。


他のチームの人が使うかもしれないものを引き取るとき、気をつけたほうがいいのは
「今すぐ使うものだけもらうようにする」ことです。
「いつか使うかも」的なものを大量にもらうと、あっちの倉庫がこっちに移動しただけ、の状態になってしまいます。

全捨てしなければいけなくなる前に計画的に片付けを進めるのがモノを生かす唯一の道です。多すぎるストック、古くなった消耗品はリストを作って掲示。貰い手を探して見ましょう。

使い終わった実験サンプル、自分で調整した緩衝液、使い回ししているプラスチック消耗品、など、自分判断で捨てやすいものは真っ先に”全捨て”をしておくと、あとがラクです。

つまり、日頃の片付け習慣が自分自身も・そして後に続く人にとっても快適な仕事環境につながるのです。


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